と妊娠中や産後は骨盤ベルトの購入を皆さん検討されるものの、疑問なこともたくさんありますよね。
腰痛や恥骨痛にも「骨盤ベルトで!」と言われたり「産後は骨盤ケアが大切だ」と聞くことも多いですが、実際どんな人に必要なのでしょうか?
- 骨盤ベルトの購入を考えている
- 骨盤ケアに必要なのかどうか知りたい
目次
妊娠中・産後の骨盤ベルト 役割は?
ベルトは不安定になった骨盤を外側から支えて安定させるという役割をしているだけなんですよ。
妊娠中・産後の骨盤ベルト 効果は?
SNS(Twitter、インスタ)で骨盤ベルトを使用したことがある方に使っていた理由を聞いてみると、
- 骨盤に痛みがあった
- 歩くときに不安定だった
- 病院で勧められた
- 歪み防止・骨盤矯正・締めるため
というご意見が実際多くありました。それぞれ効果はあるのかを少し調べてみました。
骨盤ベルトの効果は? ①骨盤の痛みに対して
ベルトに関する研究は非常に少ないため、これが絶対に正しい!というレベルの情報ではないのですが、以下のような報告がありました。
骨盤ベルトは上前腸骨棘のすぐ下(高い位置)での着用で大幅に仙腸関節の可動性を低下させた。
Jan.M.A.Mensら:The mechanical effect of a pelvic belt in patients with pregnancy-related pelvic pain(https://www.clinbiomech.com/article/S0268-0033(05)00194-4/fulltext)
この研究では、恥骨の部分で巻くよりも、腰骨の下でベルトを着用した方が、仙腸関節という骨盤(後ろ側の骨の部分)は骨盤ベルトで安定させることができた。というものになります。
ベルトの使い方、すごく大事です!
骨盤ベルトの効果は? ②恥骨の痛みに対して
こちらも参考程度ですが
●機能(PSFSスコア)は、柔軟性ベルトと剛性ベルトでそれぞれ36%と34%減少した。●ベルトの使用時間が長くなるほど、痛み(VAS)の大幅な減少があった。●骨盤ベルトの存在により、自分の活動をより意識するようになり、その結果、痛みを最小化または回避するために動作をしている可能性がある。Natasha AMS Flackら : Adherence, tolerance and effectiveness of two different pelvic support belts as a treatment for pregnancy-related symphyseal pain – a pilot randomized trial
(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4339641/pdf/12884_2015_Article_468.pdf)
別の研究では
剛性または非剛性の骨盤ベルトを使用しても、運動とアドバイスによってもたらされる効果以上にはいたらない。
Depledge Jら:Management of symphysis pubis dysfunction during pregnancy using exercise and pelvic support belts. Phys Ther. 2005 Dec;85(12):1290-300.
とされていました。
骨盤ベルトの選び方に関してはこちら
骨盤ベルトの効果は?③歪みに対して
骨盤の歪みに対しては何かあるかな〜と見てみたら、このような報告を見つけました。
妊娠中から産後にかけての骨盤ベルトの継続的な使用は、増加した骨盤の非対称性を修正する可能性がある。
Saori Morinoら:The effects of pelvic belt use on pelvic alignment during and after pregnancy: a prospective longitudinal cohort study
(https://bmcpregnancychildbirth.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12884-019-2457-6)
こちらの研究は、約200人の妊婦さんに対し、妊娠後期と産後1ヶ月の時に骨盤ベルトの使用状況をアンケート。骨盤の歪みとを照らし合わせていったものです。
- 妊娠中だけ使っていた人
- 産後だけ使っていた人
- 妊娠中も産後も使った人
- 妊娠中も産後も使わなかった人
に分けていくと、妊娠中も産後も使った人は、骨盤の歪みが修正されていたという結果だったそうです。
ただし使用時間がやはり大事なようです。
骨盤ベルトは、使用時間が短すぎるとほとんど効果がない場合がある。週7時間未満の使用では、骨盤のアライメントに影響を与えることが証明できなかった。
Saori Morinoら:The effects of pelvic belt use on pelvic alignment during and after pregnancy: a prospective longitudinal cohort study
(https://bmcpregnancychildbirth.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12884-019-2457-6)
ベルトばかりに頼らないようにする
ここまでをまとめてみると
- 骨盤の痛みに効果があるという報告もある
- 恥骨痛はベルトよりも「痛みを起こさない動作」が大事
- 妊娠中から継続的に使用すれば歪みにも対応できそう
ただ、産後ずっとベルトに頼ってばかりいるわけにもいきません。お腹の奥の筋肉(いわゆるインナーマッスル)が骨盤を安定させるのにも大事ですが、特に産後はあまり使えない状態です。
ベルトは、ここがちゃんと使えるようになるまでの「テープ」つまり補助としての役割と考えることが大事かもしれません。